真っ当な商売

美味しそうな柿です。
八百屋のご主人
前の記事で書いた、昔住んで居た団地の近くに、八百屋さんがありました。
人がよさそうで、正直そうなご夫婦が営んでいらして、つやつやして張りのある、良い野菜と果物を扱っていました。
そのうち、大家だった隣の食料品店が建て替えられてコンビニエンスストアになる事になり、店子だったその八百屋さんは、団地内の商店街に移って行かれました。
八百屋さんが移った商店街に行ってみると、アーケードの真ん中あたりの飾り気のない店内に、変わらず美味しそうな野菜を並べて商売をされていました。
確か、その後の事だったと思うのですが、その八百屋さんが入った場所の数件空けた先の道路に面した所に、目を引くような安さの野菜をぎっしり並べた八百屋さんが入りました。
少しだみ声の売り子さんが呼び込みをしていました。
安さにつられて…水菜やきのこか何か買ったような記憶があります。
(あの八百屋さんは大丈夫だろうか…)少し後ろめたいような気持ちがしながら、家に帰りました。
裏を見る
その安売り店とは別の安売り店で、ある日、4つパックのいちごが500円で売られていました。…安い!!
いちごが大好きなんですが、でも4パックも食べられない…買おうかどうか迷っていると、店主に声をかけられました。
「そういう時はね、ご近所さんにおすそ分けしたら良いんだよ。」
そうか!と思ってその4つパックのいちごを買い、家に着いてすぐにお隣さんに半分持って行きました。
家に戻り私も食べようとそのいちごを水を張ったボウルに入れると…
何と、裏が傷だらけなのです。つやつやで形の見た目の良いところを表に並べ、裏を返すと傷だらけでうす茶色がかった所が並べてありました。
お隣にすっ飛んで行って謝りました。こんなに悪いものとは知らなくて…
「大丈夫。悪いとこは削ってジャムにしたらいいから。」
仕入れた店主がこれを知らない筈はない…若かったので舐められていたのでしょうか…。
以来、いちごは必ず裏を見てから買うようになりました。
生き残る商売
あれから20年以上経ったでしょうか…久しぶりに商店街に行ってみました。
すると、シャッターがあちこち閉まった中で、あの人のよさそうなご主人の八百屋さんが店を開けていました。
ご主人は少し耳が遠くなっておられたけれど、あのころのまま、年齢を重ねていったという感じで、変わらず店先に立っておられました。
懐かしくて、嬉しくて…一言二言話しかけ、店先にあった柿を手にとりました。
「その柿はちょっと熟れているから安くしているんだよ。」
私はすぐに食べずに少しおいておきたかったので、それじゃあ…と定価の柿の方を買いました。(写真の柿です。)
店を見渡すと、相変わらず良い野菜を並べておられます。
カブなんかつやつやしていて大きくて、葉っぱまで美味しく頂けそうでした。
道路沿いに店を出していた安売り店はなくなっていました。
安売りが悪いと言っているのではありません。お金の無かった私にとっては、安く売っていただいて助かりました。(その安売り店はもっと売れる他の場所へ移られたのかも知れないですし…)
ただ、悪いところを裏に隠して、買った人が家に帰ってがっかりするような商売をしてはいけないと思うのです。
人柄が良くて、いい商品を並べていたご主人の店は、安売りはしてなかったけど、結局最後まで残っていました。
その事から私も学び、襟を正して、真っ当な仕事をするようにしなければ…と思いました。






